近年、東京や大阪を中心とした都市部では土地価格や建設費の上昇もあり、戸建てのマイホームを建てるというハードルが高くなっています。
せっかく手に入れた土地も、様々な法規制の影響で、希望通りの広さで建てられなかったという話もよく耳にします。
不動産屋さんが掲示する土地図面や不動産情報には、参考プランがついていることもありますので、間取りや広さについては想像ができるケースもあります。
しかし、その土地の中でどのぐらいの「高さ」や「階数」が取れるのかということについては、専門家でない限り不動産情報だけで判断するのはなかなか困難です。
そこで、本テーマの前編では特に法規制の厳しい都市部で住まいづくりを考えている方を対象に、気をつけたい「高さ制限についてのポイント」を2つ解説したいと思います。
① 用途地域による高さ制限
② 道路による高さ制限

用途地域による高さ制限
最初に「①用途地域による高さ制限」について解説したいと思います。
都市部では大抵の場合、その土地に「用途地域」が定められております。
簡単に言えば、低層住宅しか建てられない地域、工場しか建てられない地域、高層ビルや高層マンションを建てても良い地域などの分類です。
用途地域の高さに関する制限として、第1・2種低層住居専用地域、田園住居地域では建物の高さは10m(または12m)に制限される「絶対高さ」というものがあります。
10mと聞くと意外と高く建てられそうですが、これらの地域は他の用途地域と比べて、後ほど解説する北側斜線、高度地区の斜線制限、日影規制ともに厳しいケースが多く、
広く、高く建てたいという場合には注意が必要です。

道路による高さ制限
次に「②道路による高さ制限」について解説したいと思います。
まず、建物を建てようとする土地は原則として幅員4m以上の道路(「前面道路」という)に面する決まりがあります。
また、前面道路の反対側の境界線から一定勾配の範囲内に建物の屋根や外壁を納める必要あり、これを「道路斜線」と言います。
わかりやすいイメージとして、街中で道路に面した建物の上部が突如斜めになっていることがありますが、道路斜線を避けてそのような形状となっているケースが考えられます。
道路斜線は幅員が狭いほど厳しいため、幅員4mで3階建の住宅を計画しようとする場合は注意が必要です。
ただし、道路斜線もいくつかの緩和規定や適用除外の検討方法があります。
私の事務所兼自宅は「天空率」という道路斜線の適用除外の検討を行い、4m道路で道路境界ギリギリまで3階建ての建物を計画するということを可能にしています。

一見難しそうな土地だと思っても建築士に相談するとうまく解決できる場合もありますので、お近くの設計事務所に相談してみるのも一つの手段です。
※後編に続く
③ 方位による高さ制限 ④ 日影による高さ制限 ⑤ その他の高さ制限
投稿者プロフィール

- 一級建築士事務所
- 当事務所は個人住宅、共同住宅、事務所ビル、保育園、公共施設などの建築設計を幅広く手掛けております。特に近年は鉄筋コンクリート造(RC造)の建物に関しての新築、改修、調査のご相談が多く、得意とするフィールドのひとつになっています。神奈川・東京を中心に全国の建物に関わるご相談を承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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