司法書士を目指したきっかけ
以前勤めていた会社の同僚が「司法書士の資格を目指している」と聞いたのが受験のきっかけです。
不動産会社に勤めていたのですが、リゾートマンションの企画業務を担当していたので、司法書士とは年1回会うか会わないかで、どんな仕事をしているのかも分かっていませんでした。
その後、簡単には受からない資格と聞いて、「チャレンジしてみようか」と軽い気持ちで試験勉強を始めました。
資格取得のために必要なこと
試験科目が多い上に、年に1回1日で試験を行なうので「深い知識は無くても大丈夫」と勝手に思っていました。
40年以上も前のことなので、現在の試験内容とはずいぶん違うと思います。
基本的な知識の習得と問題に回答するコツがわかれば、合格するとの認識でした。
勉強を始めたら「ちょっと甘いな」とは思いましたが…。
「民法」・「刑法」・「商法」・「民事訴訟法」・「民事保全法」・「不動産登記法」・「商業登記法」など試験科目が多く、週に3日程午前中は専門学校に通って勉強しましたが、学校のカリキュラムも最後のほうは時間足らずという感じでした。
資格試験までの苦労や工夫したこと
学校に通い始めて3ヵ月程して最初の受験を迎えました。
学校のカリキュラムも全然終わっていない状況でしたが、とりあえず、どんなものか受けてみようと思いました。
もちろん玉砕するのですが、あまりにも解らない問題ばかりで、その日のなんと長いこと…。
午後の試験は登記の書式の問題でした。周りでサラサラと記入する音を聞きながら、ただ座っているだけの時間でした。
この受験でただ一つ良かったのは、限られた時間で多くの問題に回答しなければならないので、一問の回答に時間を掛けられない、曖昧な知識では合格しないことが分かったことです。
受験を決めた時から、毎日必ず勉強すること、受験科目以外の本は合格するまで読まないと決めていました。
この最初の受験以降は、掃除・洗濯・食事の支度と食事・入浴・睡眠以外の1日のほぼ全ての時間は勉強していました。
夫には「1年間養ってください」とお願いしていたので、時間はたっぷりありました。
規則正しい生活、少しの移動時間でも常に学校のテキストを読み、何度も過去問を繰り返し、理解していないことや間違った問題を集中的に勉強する日々でした。
試験に合格したときの心境
自分なりによく勉強したと思いますが、それでも完璧とは言えず、模擬試験の結果はかろうじて受験日の1ヶ月位前にやっと上位20番程度に入るくらいでした。
他の学生からは『試験の前に必ずこういう奴が出てくるからな』と言われていました。
最初の受験の時に思ったような、確実に回答できると思える程の学力には及びませんでしたが、「真面目に勉強してきた成果がやっと少しずつ現れてきたかな」と思える、そんな状況で受験日を迎えました。
結果は合格でした。
「試験は水物」といいますが、「私の合格はまさにそれだな」と思いました。
母に合格の報告を電話でしているとき、思わず泣いてしまいました。
協力してくれた夫には、感謝の気持ちしかありませんでした(今はすっかり忘れています)。
司法書士になってみて
試験に合格した後、溝淵事務所に就職しました。
私は実務経験がなく、知らないことばかりでしたので、机上の勉強だけでは役に立たないことを実感しました。
残金決済の不動産登記が主な業務だったので、残金決済の立会い、法務局への登記申請など常に時間を意識していたこと、重い鞄を持っての移動も思いのほか体力が必要な仕事だなと感じました。
実務経験を積んでいくうちにお客様に喜んでいただき、続けて次のご依頼をいただく、あるいは他のお客様をご紹介いただく中で、「自分が役に立っている」と感じられることが増えてきたのは嬉しかったですね。
司法書士に向いている人
司法書士は登記が主な業務で「几帳面で事務処理能力に長けている者が向いている」といわれてきましたが、業務の多様化(後見手続き、家族信託、後見人や任意後見に伴う財産管理業務など)に伴い、ご依頼人に寄り添ってご本人の意向を十分に汲取ること、適切な法的手続きの提案など、求められる能力が幅広くなってきたと思います。
司法書士の職業としての魅力
「司法書士は国民の権利と財産を守る最も身近な法律家」と言われています。
登記手続き、企業法務、簡易裁判所における140万円を超えない訴額の裁判手続きなどに加えて、少子高齢化の時代に合致した業務の多様化、溢れる様々な情報に戸惑いを覚える方々に、それぞれ適切な解決策をご提供できる魅力的で有意義な仕事だと思っています。
これから資格取得を目指している人へ
私の受験時とは違って、試験内容もずいぶん難しく変わっていると思います。
私のアドバイスが役に立つとは思えませんが、試験内容が幅広く一発勝負なので、勉強する時間をきっちり確保して、あきらめずにチャレンジして頂ければと思います。
司法書士は国家資格です。
難関を突破して、依頼人に安心と安全を感じていただける、最も身近で魅力的な法律家をぜひ目指してください。
記事執筆:溝淵司法綜合事務所 平井志津子(司法書士)
投稿者プロフィール
- 昭和54年の開業以来一貫して「お客様第一」の姿勢を徹底しております。 進化する生活の町「武蔵小杉」を基盤にもっとも身近なリーガルアドバイザーを目指し、総勢35名のスタッフで業務を行っています。 お客様との「信頼関係」それが私たちの財産です。 これからも、お客様のおかげで私たちがあることを忘れずに、お客様第一主義 を徹底いたします。
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