【民事裁判のIT化】近い将来、WEB会議で口頭弁論?

インフォメーションテクノロジー

皆さんの中で、民事裁判を経験した方はあまり多くないかもしれません。

その背景には「トラブルになっても裁判をするための手続が面倒だ」とか、「裁判所に行くのが大変だ」ということがあるかもしれません。世間ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の提唱に加え、現在のコロナ禍の中で様々なものがIT化されています。そのような中、民事裁判についてもIT化が検討され、早ければ2022年にも法律が改正される見通しです。

今回は現在の民事裁判の手続の流れや、それがどのようにIT化されるのかについてお話したいと思います。

IT化イメージ

現在の民事裁判手続

現在の法律(民事訴訟法)では、裁判を行うためには裁判所に書類を提出しなければならないとされています。
訴訟手続の中で当事者双方が準備書面という主張を記載した書類や、証拠書類を提出することがありますが、郵送かFAXを利用しなくてはなりません(メール送信は認められていません)。

また口頭弁論といって、提出した書面の内容の主張をするための手続を行う場合には、実際に裁判所に出廷しなければならないとされています。証人尋問も基本的に裁判所の法廷で行われます。
一部の手続では電話を使ったり、書面だけで整理を行うことができますが、現在の民事裁判手続は完全にオンラインで完結できない状況です。
現在のIT化の流れなどを考えると、裁判を行うために書類を作って提出し、裁判所に行かなければならないということは、司法アクセスの点などから望ましいことではありませんでした。
他方、IT化した場合の本人確認や、IT化に対応できない方が裁判を起こせないことがないようにする必要もあります。

法務省ではこれまで10回以上の検討会を行っており、それを踏まえて、以下の方向の改正を検討しているようです。
最終的には2022年くらいに法案が提出され、これが可決されることで改正の内容が確定することになります。

WEB会議イメージ

申立てのオンライン化

現状は民事裁判などの申立てを行う場合には、裁判所に書類を提出しなければなりませんが、これをインターネットを用いて行うことになります。
弁護士に依頼した場合には、インターネットでの提出は必須とされ、IT化に対応できない方の司法アクセスの観点から、弁護士をつけずに裁判をする方については、従前どおり書面によることも認められる予定です。

 

口頭弁論のオンライン化

現状は口頭弁論を行う場合には、当事者が裁判所に実際に出廷しなければなりません(遠方の裁判所の場合も出廷が必要です)が、改正後はWEB会議によって行うこともできるようになります。

現在も当事者双方に弁護士が就いている場合には、争点を整理するための準備手続(口頭弁論とは異なります)に限り、マイクロソフトの「Teams」というWEB会議システムが利用されることがありますが、改正後はこれに限らず、裁判所が相当と認める場合(当事者が遠方であるなどの場合と思われます)には口頭弁論期日もWEB会議で行うことができるため、裁判所への出廷のための負担(交通費など)が軽減されることになります。

また証人尋問に関しても、改正後は裁判所の判断により、WEB会議システムによって実施できるようになります。

 

民事裁判手続全体がIT化

これらの他、裁判所が作成する書面(判決書)などもデータで作成され、インターネットを利用して各当事者に送付されるなど、今回予定されている改正によれば、民事裁判手続全体がIT化されることになります。

最高裁判所

今後の課題

改正された法律が施行された以降は、上記のようにオンラインでの民事訴訟ができるようになりますので、手続的な負担は大きく軽減される見通しです。
他方、今回の改正は民事裁判に関するもので、家事裁判(離婚などの調停など)の取扱いについては、今後の課題として残されています。
現在も試行的にWEB会議の利用などが一部でなされており、最終的にはIT化されるものと思われますが、これについては今後の動向を見ていく必要があります。

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田中・石原・佐々木法律事務所
田中・石原・佐々木法律事務所
フットワークのよさに定評のある30代の弁護士3名からなる法律事務所です。専門・得意分野が幅広いことも強みの一つ。分野の異なる法律事務所で研鑽を積み、税理士等他士業と連携体制も取れております。また、セミナーや講演も積極的に行い、良質なリーガルサービス実現を目指しております。事務所は、交通の便が良いターミナル駅JR・東急各線「武蔵小杉駅」から徒歩5分。首都圏エリアのご相談可能です。

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