夫婦が離婚をした場合、婚姻期間中に築いた財産は夫婦の共有財産となり、離婚時にはその財産を「財産分与」として分け合うのが原則です。
また、不動産を財産分与するときは、不動産の所有者を変更する「所有者移転登記」を行なわなければなりません。
なお、離婚時に財産分与の取り決めをしなかった場合でも、後から財産分与を請求することはできますが、請求できる期間は離婚した時から2年以内という期限がありますので、ご注意ください。
財産分与後に所有権移転登記を行なわないことのリスク・デメリット
財産分与により所有者を変更した場合、所有権移転登記を行なわなくても罰則はありませんが、
登記手続きをすませないと、以下のようなリスク・デメリットがあります。
● もともとの所有者に固定資産税が課税され続ける
固定資産税は毎年1月1日時点での登記簿上の所有者に課税されます。
そのため、不動産の所有者を変更する所有者移転登記をしなかった場合、もともとの所有者に固定資産税が課税され続けることになります。
● 不動産の所有権を第三者に主張できない
財産分与を受けた場合でも所有権移転登記をしなければ、その権利を第三者に主張することはできません。
例えば、財産分与による所有権移転登記をしないうちに、もともとの所有者が他の人に売却し、
所有者移転登記をした場合に、離婚時に財産分与を受けた人は所有権を主張できず、購入した人に権利が渡ってしまう可能性があります。
離婚により財産分与が行なわれた時には、速やかに所有権移転登記を行ないましょう。
財産分与による所有権移転登記をする際の注意点
財産分与による所有権移転登記をする際には注意点もあります。
● 所有権移転登記をしても住宅ローンの債務者は変わらない
所有権移転登記をして家の所有者を変更しても、住宅ローンの債務者は変更されません。
例えば、夫名義で住宅ローンを組んでいる家を妻名義に所有者移転登記をした場合、登記上の所有者は妻になりますが、住宅ローンの名義は夫のままです。
金融機関との住宅ローンの契約では「銀行の承諾なく所有権を移転した場合、残りの債務を一括で請求する」と取り決められていることがほとんどです。
そのため、銀行に無断で所有者移転登記すると契約違反となり、残債を一括で請求される可能性がありますので、事前に住宅ローンを組んでいる金融機関に承諾を得るための手続(債務者の変更やローンの借換など)について、相談しながら進めるのが良いでしょう。
● 譲渡所得税がかかる場合がある
財産分与で不動産の所有者移転登記をした場合、原則として贈与税はかかりません。
財産分与は夫婦の共有財産を分け合う行為であり、贈与ではないからです。
また、不動産を取得した際に課税される不動産取得税についても原則として課税されません。
しかし、財産分与を行なった時点で、その不動産の時価が取得時の価格よりも上回る場合には、財産分与をした人に譲渡所得税が課税されます。
ただし居住用に使用していた土地家屋については「居住用財産を譲渡した場合の特例(3,000万円控除)」の適用がありますので、事前に税理士に確認すると良いでしょう。
財産分与による所有権移転登記は、法務局にて自分で行なえますが、手続きが複雑で慣れていない人は大変と感じてしまうこともあるでしょう。
また、住宅ローンや税金などお金に関することもあるので、事前にしっかりと確認しておくことが必要です。
溝淵司法綜合事務所は「まちの専門家グループ」の専門家ネットワークをフル活用し、ワンストップで対応可能です。
ぜひお気軽にご相談下さいませ。
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