令和3年7月6日に特定商取引法(以下「法」といいます)が改正されました。そのうち、いわゆる「送り付け商法」(ネガティブ・オプション)についてルールが変わりました。
「送り付け商法」とは、申し込んでもいない人などに一方的に商品を送りつけ、売買代金を請求するというような手口です。
商品を送りつけられた人は、期限内に高額な支払いをしなければいけないという心理に陥ってしまう場合がある悪質な商法です。
そもそも売買契約が成立していなければ、代金を支払う義務などありません。
そこで法では、このように商品を一方的に送り付けられた場合には「原則として即時に商品を処分してよい」ということにしました。
従前のルール
このような「送りつけ商法」には、もともと一定の規制がされていました。改正前の法では…
① 商品の送付があった日から14日を経過する日、または送りつけられた人が業者に引取を請求した場合は「請求日から7日を経過する日」までのいずれか早い日までに、
② 送りつけられた人が売買の申し込みに対し承諾せず、かつ、業者が商品の引取りをしない場合…
業者は商品の返還を請求することができなくなると規定されていました(改正前法第59条1項)。
したがって、①の期間経過後には商品を処分できることになっていました。
他方、改正前の法によれば、「受け取ってから最長14日間は商品を保管しなければならない」という負担を強いられるものでもありました。
改正後のルール
法は最長14日間も商品を保管しなければならないという負担をなくしました。
つまり、申し込んでもいないのに一方的に商品を送りつけられた人は、即時に商品を処分してもよいということになりました(改正後法第59条1項)。
ただし、例外として商品を送りつけられた人(会社)が「営業のために、または営業として締結することとなる」売買契約の申し込みを受けた場合は、これらの規制は及びません(改正後法第59条2項)。
送りつけられた商品がその人(会社)にとって事業用である場合には第59条1項が適用されません。
会社間で一般取引契約書を締結して継続的に売買契約をしている場合を想定していると思われます。
そのような場合は、むしろ申し込みと承諾の手続よりも円滑な取引の方が重視されるからです。
今後
今後は「送り付け商法」によって、一方的に商品を送りつけられたらすぐに処分をしても構いません。
業者に連絡するのはリスクがあるので、やめた方がよい場合が多いでしょう。
もっとも、処分費用が高い場合などは着払いで送り返すのも一つの方法かもしれません。
投稿者プロフィール
- 当事務所はさまざまな分野の法律紛争に対応しておりますが、案件としては相続事件がやや多めになっております。相続対策は早いほど効果的。気になることがある方は一度ご相談ください。平成25年4月 当事務所の弁護士たちで、東洋経済新報社より『新版 図解 戦略思考で考える「相続のしくみ」』を上梓しました。事務所は、アクセスの良い銀座一丁目駅にあります。まずはお問い合わせください。
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