ご存知のとおり、賃金には最低額(最低賃金)が定められており、企業はその額以上の賃金を労働者に支払うことが義務付けられています。
この最低賃金には、都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。
このうち「地域別最低賃金」は、毎年10月に改定されることになっており、2019年度についても都道府県ごとの最低賃金が改定されました。
この機会に時給者以外の方も最低賃金を下回っていないか、確認してください。
最低賃金額
今回すべての都道府県で26円以上の引き上げとなりました。中でも東京都と神奈川県は10月からついに1,000円台まで引き上げられました。
<東京都> (改定前985円)⇒ 2019年10月1日より、1,013円
<神奈川県> (改定前983円)⇒ 2019年10月1日より、1,011円
その他、主な都道府県の最低賃金は次のとおりです。
日給制と月給制の計算方法
パートタイマー、アルバイト等の時給者の賃金が最低賃金を下回っていないかを確認するとともに、日給者や月給者についても1時間あたりの賃金額を算出して確認しましょう。
① 日給者の場合
日給÷1日の所定労働時間≥最低賃金額(時間額)
例1)日給:10,000円、 1日所定労働時間:8時間の場合(休憩時間を除く)
10,000円÷8時間=@1,250円 ⇒ OK
例2)日給:8,000円、職務手当:月額5,000円、所定労働時間:8時間、月の勤務日数:21日
(8,000円÷8時間)+(5,000円÷8時間×21日)≒@1,029円 ⇒ OK
② 月給者の場合
対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金すべてが対象です。
ただし、家族手当、精皆勤手当、通勤手当、残業代、賞与は、最低賃金の計算から除かれます。
月給合計額÷月平均所定労働時間≥最低賃金額(時間額)
例)神奈川県(最低賃金額1,011円の)場合
・170,000円÷170時間=@1,000円 ⇒ 最低賃金額を下回りNG
・(170,000円+資格手当月10,000円)÷170時間≒@1,058円 ⇒ OK!
最低賃金が適用される労働者の範囲
最低賃金は社員やパート、契約社員などの雇用形態に関わらず、全ての労働者に適用されます。
ただし、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合は、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれがあるため、次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として、個別に最低賃金の減額ができる特例が認められています。
① 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い方
② 試みの使用期間中の方
③ 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
④ 軽易な業務に従事する方
⑤ 断続的労働に従事する方
投稿者プロフィール
- 当事務所は、従業員1名から上場企業まで幅広い企業様とお取引をさせていただいています。各社の企業規模や業種特性に応じて、適切かつ柔軟に対応できるのが強みです。また、経営理念として、人事・労務・社会保険業務を通じて、経営的な視点からお客様企業の(1)より良い企業風土づくり、(2)より強い企業体質づくり、(3)より業績の向上、につながるよう日夜努めています。
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