【年収の壁】手取り額減少と人手不足を防ぐ3つの対策

毎年の恒例となっていますが、年末にかけて労働時間を調整するパートタイマーが増えます。

パートやアルバイトなど、配偶者の扶養要件の範囲内で働く人は、年収が一定額を超えると単独で社会保険への加入義務が生じます。
そして保険料の支払いにより、手取り額が減るという事態を避けるため、年末が近づくと働く時間を調整する傾向があります。

そのうえ、毎年、最低賃金が引き上げされていますので、扶養の範囲内に収まるには働く時間は年々減少せざるを得ません。
人手不足がさらに深刻化しているのです。

このような問題を解決するため、政府より当面の措置として「年収の壁」対策が公表されました。

ここでひとつ整理をします。

「年収の壁」は、「社会保険上の壁」と「税制上の壁」の2種類があります。

今回の措置は、「社会保険上の壁」である106万円と130万円が対象で、「税制上の壁」である、100万円、103万円、150万円は対象とはなりませんので、ご注意ください。

年収の壁

社会保険の壁(年収130万円の壁・年収106万円の壁)

● 130万円の壁とは?

厚生年金保険の加入者数が100人以下の事業所では、年収130万円を超えると配偶者の扶養の要件から外れます。
配偶者の要件から外れると、勤務時間が概ね週30時間以上であれば、勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入し、週30時間未満ならば住所地市区町村の国民年金・国民健康保険に加入することになります。

両方とも本人負担の保険料が発生します。
そこで年収130万円に収まるために、約60%のパート等が就労調整をしていると言われています。

 

● 106万円の壁とは?

これに対し、厚生年金保険への加入者数が101人以上の企業では、週20時間以上勤務し、月額88,000円以上の収入(年収約106万円)を超えると、配偶者の扶養から外れて、勤務先の厚生年金保険・健康保険に加入することになります。
130万円の壁と同じく本人負担の社会保険料が発生します。
2023年10月からは51人以上の企業も対象となりますので、さらに厚生年金保険・健康保険に加入するパートの増加が見込まれます。

この130万円、または106万円以内に収めるメリットとしては、上述のとおり自己負担の社会保険料が発生しないことです。
具体的には国民年金保険料と健康保険料が免除されます。加えて、配偶者が勤務する会社で配偶者手当(家族手当)が支給されていれば、その対象にもなります。

年収の壁

政府による当面の3つの対策

労働力不足が深刻さを増す中で、一時的な繁忙期などに扶養の範囲を超えて働く繫忙期に向けて、就労調整による更なる労働力不足を回避するためにも、当面の対応策として政府が打ち出している3つの施策は以下のとおりです。

① 年収130万円の壁対応

パートやアルバイトで働く人が人手不足の影響で長く働き、一時的に130万円を超えたとしても、事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養の認定が可能となります。
ただし、一時的な事情として認定を行なうことから、原則として連続2回までが上限です。

② 年収106万円の壁対応

パートやアルバイトで働く人の、厚生年金や健康保険の加入に併せて、手取り収入を減らさない取り組みを実施する企業に対し、1人当たり最大50万円の助成金が支給されます。
また、新たに社会保険に加入するパート等の社会保険料負担軽減のために支給する、社会保険適用促進手当に対しては、社会保険料決定の算定基礎に入れる必要はありません。

③ 配偶者手当への対応

配偶者の収入要件によって支給不支給が決定する配偶者手当(家族手当等)も、就労調整の一因となっている現状を踏まえ、配偶者手当を廃止または縮小し、代わりに基本給や子どもへの手当を増額するなどの見直しを推進。

 

投稿者プロフィール

社会保険労務士法人 ジンザイ
社会保険労務士法人 ジンザイ社会保険労務士
当事務所は、従業員1名から上場企業まで幅広い企業様とお取引をさせていただいています。各社の企業規模や業種特性に応じて、適切かつ柔軟に対応できるのが強みです。また、経営理念として、人事・労務・社会保険業務を通じて、経営的な視点からお客様企業の(1)より良い企業風土づくり、(2)より強い企業体質づくり、(3)より業績の向上、につながるよう日夜努めています。

100年ライフマネジメント

「100年ライフマネジメント」は、お客様の生活の中にある心配事を共に確認し、年代に応じた対策準備のお手伝いをする専属アドバイザー契約です。

月々1000円(税込)で専属アドバイザーには何度でもご相談いただけます。

ABOUTこの記事をかいた人

当事務所は、従業員1名から上場企業まで幅広い企業様とお取引をさせていただいています。各社の企業規模や業種特性に応じて、適切かつ柔軟に対応できるのが強みです。また、経営理念として、人事・労務・社会保険業務を通じて、経営的な視点からお客様企業の(1)より良い企業風土づくり、(2)より強い企業体質づくり、(3)より業績の向上、につながるよう日夜努めています。