今年も年末まで2ヶ月を切り、年末調整の時期になりました。
すでに会社から年末調整関係の記入を依頼されている方もいらっしゃると思います。
昨年度の税制改正により、平成30年の年末調整はこれまでとは違う点がいくつかあります。
ここでは、平成30年の年末調整の主な注意点を紹介します。
① 年末調整の用紙が変更になります。
今までは、「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」の一種類でしたが、
平成30年からは、「給与所得者の保険料控除申告書」、「給与所得者の配偶者控除等申告書」という2種類になりました。
②「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出が必要です。
この申告書はすべての方ではなく、配偶者控除もしくは配偶者特別控除の適用を受ける方が対象となります。
前年までは、配偶者控除の場合はこのような申告書の提出は必要ありませんでしたが、今回からは必要になります。
ここで注意したいのが、次項で詳しく取り上げますが、給与所得者本人と配偶者のそれぞれの所得金額を記入することです。
③ 給与所得者と配偶者の所得の記入が必要になります。
②の「給与所得者の配偶者控除等申告書」では、控除対象となる配偶者の所得だけでなく、
給与所得者本人の所得も記載する必要があります。
これは、給与所得者本人の所得に応じて、配偶者控除額が異なることになったためです。
なお、給与所得の金額とは、下記の表のように求めます。
例えば、給与の収入金額が150万円の場合は、150万円から65万円を差し引いた85万円が所得金額となり、
給与の収入金額が800万円の場合は、800万円×90%-120万円=600万円が所得金額となります。
④ 給与所得者の合計所得金額によって配偶者控除・特別控除金額が変わります。
配偶者控除については、今までは配偶者の年間合計所得が38万円以下(年収103万円)であれば、38万円の控除を受けることができましたが、
今回からは、給与所得者本人の所得金額によって38万円・26万円・13万円という控除金額になります。(下記の表でいうと、一番上の部分にあたります。)
配偶者特別控除については、今までは
「配偶者の合計所得が38万円超76万円未満(年収141万円未満)であること」、
「給与所得者本人の合計所得が1,000万円以下(年収1,220万円以下)で あること」
の2つの条件を満たしている場合に、控除金額は最高38万円でした。
今回からは、年収が150万円以下でも、給与所得者本人の年収が1,120万円以下の場合は、
38万円の控除が受けられるようになります。
このように、給与所得者の所得金額と配偶者の所得額に応じて控除金額が38万円から1万円となります。
(下記の表の配偶者特別控除の欄を参照ください。)
なお、配偶者の収入がパート収入だけの場合、
その収入額が201万円までなら配偶者特別控除の適用を受けられる可能性があります。
以下、簡単な例を挙げてみます。
例①
給与所得者の年収800万円
配偶者の年収100万円
配偶者控除の金額⇒38万円
例②
給与所得者の年収1,150万円
配偶者の年収100万円
配偶者控除の金額⇒26万円
例③
給与所得者の年収1,200万円
配偶者の年収200万円
配偶者特別控除の金額⇒1万円
例④
給与所得者の年収1,200万円
配偶者の年収240万円
配偶者の年収が240万円なので配偶者特別控除の適用はありません。
平成30年の年末調整の変更点はいかがでしたでしょうか。
給与所得者本人の所得金額によって配偶者控除の金額が変わったり、
給与所得者本人と配偶者の所得金額をそれぞれ計算しなければならないなど、
制度が複雑になり、対応が今まで以上に難しくなっている部分もあると思いますので、
本稿の図表を参考にしていただければ幸いです。
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