近年、サラリーマンで給与をもらいながら副業をしている人が増えてきました。
政府は「働き方改革」の柱の一つとして正社員の副業や兼業を促す方針を打ち出し、
企業が就業規則を定める際の参考に使用できる厚生労働省「モデル就業規則」の副業・兼業禁止規定を年度内にもなくし、
「原則禁止」から「原則容認」に転換する指針を発表しました。
ここ数年で大手企業を中心に副業を積極的に認める会社も出てきています。
そこで、サラリーマンが副業をする場合の税金の仕組みや確定申告が必要かどうかについて解説していきたいと思います。
まず初めに所得税の計算において、副業がどのように扱われるのかを確認します。
税法上“副業”という定義はありません。
所得税法では、所得の種類が「利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得・雑所得」の10種類に分類されています。
サラリーマンが本業から得る給料は、このうちの「給与所得」に該当します。
副業から得られる所得はその内容によって、上記10種類の所得区分のうち、いずれかに分類されることになります。
所得の種類が異なれば、税金の計算方法や税率も異なってくるのです。
例えば、サラリーマンが日中会社で働く傍ら、次のような副業をしたら…
● コンビニや飲食店で夜勤のバイトをした ⇒ 給与所得
● アパートを賃貸して賃料を得た ⇒ 不動産所得
● ブログの広告収入を得た ⇒ 雑所得
● 本を執筆し、原稿料を得た ⇒ 雑所得
● 株取引を行って収入を得た ⇒ 譲渡所得・配当所得
● ネットオークションやフリーマーケットで物品を販売して収入を得た ⇒ 雑所得
…という具合です。
次に、複数の所得がある場合にどのように確定申告をするのかを確認します。
副業から得た所得は、本業の給与所得と合算して確定申告をすることになります。
ただし、副業をしている人は必ず確定申告をしなければならないかというと、そうではありません。
副業の所得区分・所得金額によっては確定申告が不要なケースがあります。
本業で年末調整をしている方は、給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。
この場合の20万円以下というのは、収入ではなく「所得」です。収入から経費を引いた儲けの部分と考えてください。
いくつか例を挙げて、副業に関する税金の取扱いを具体的に見ていきましょう。
ここでは、フルタイムの正社員として会社で働く傍ら、副業から所得を得た場合について解説します。
■アルバイトをした場合(2か所給与)
サラリーマンが副業で別の会社から給与収入を得た場合、従たる給与として本業の給与と合算して確定申告する必要があります。
ただし、従たる給与の収入金額と給与所得・退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は確定申告をする必要はありません。
■ブログの広告収入がある場合・ネットオークション等で物品の販売収入がある場合(雑所得)
ブログの広告収入やネットオークション・フリマなどで物品を販売した収入は「雑所得」に該当します。
給与所得で年末調整を行っており、かつ収入金額から必要経費を差し引いた金額が20万円以下であれば、確定申告する必要はありません。
20万円を超えたときには確定申告する必要があります。
■株式の売買で利益がでた場合(譲渡所得)
株式を売却したことによる収入は「譲渡収入」となります。株式の譲渡による所得は証券口座が源泉徴収口座か源泉徴収口座以外かによって、申告の要否が異なります。
給与所得以外の所得が20万円以下であれば、確定申告は不要ですから、次のような場合には確定申告は必要ありません。
①一般口座・特定口座(源泉徴収なし)で20万円以下の所得の場合
②20万円以上の利益が出たとしても特定口座(源泉徴収あり)の場合
※年末調整をしていない方、医療費控除を受けるために確定申告をする方など、確定申告書を提出するときは副業からの所得も合わせて申告が必要なのでご注意ください。
また、確定申告不要の方でも住民税の申告は必要となります。
いかがでしょうか。
一口に副業といっても、その内容や得られる所得の金額によって税務上の取扱いは変わってきます。
確定申告が必要なケースに該当する場合には、毎年2/16~3/15の期間に税務署で確定申告をしましょう。
また確定申告が不要であっても、確定申告をすることで税金が安くなるケースなど、ここでは書ききれない様々なケースが考えられますので、
個別の事情に沿って適切なアドバイスが欲しいという方は税理士に相談されるのがよいでしょう。
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