人手不足の折、「求人広告を出してもまったく問合せがない」、「どうにか採用できてもすぐに辞めてしまう」という話をよく聞きます。
そこで応募者を増やし社員の定着を高めるために、厚生労働省管轄による公的助成金を活用して、処遇の改善や福利厚生の充実を図ってみてはいかがでしょうか?
具体的には新たに資格手当や研修制度などを導入し、それを求人票に掲載して応募者数の増加を狙います。
若年者は資格取得や研修を通じて、自分の成長を支援してくれる会社に魅力を感じています。
また、大腸がんや乳がんに罹患する人が増えていますので、法定の健康診断に追加してこれらの検診を実施します。
福利厚生の充実を図ることにより、安心して長く働ける職場環境を整備し定着化につなげます。
この助成金の名称は「職場定着支援助成金」といい、次の3つの制度から構成されていて、最大で112万円受給できます。
A.制度導入助成
定着化のため次の制度の導入により、各々10万円が支給されます。(合計で40万円)
① 評価・処遇制度
家族手当、資格手当、役職手当、退職金などを新設して処遇を改善すること
② 研修制度
職務に必要な知識、能力の付与を目的として、カリキュラム内容、時間等を定めた研修制度等を新たに導入すること
③ 健康づくり制度
法定の健康診断の項目以外に、大腸がん検診や乳がん検診、子宮がん検診、歯周疾患検診などのうち1つ以上を受診できる制度を導入すること
④ メンター制度
メンター制度を新たに導入し、メンターに対し講習を受講させること(受講料等は全額事業主が負担)
B.目標達成助成
上記の制度導入後、社員の離職率が一定率以上(雇用保険加入者数が9名以下の会社は15%以上)低下すれば、Aに加算して57万円が支給されます。
【事例(概要)】
現在、雇用保険加入者数5人の会社で、制度導入前1年間に1名が離職。制度導入から1年後の離職者がゼロの場合に、離職率が16.7%(6人中1名退職)から0%に低下するため、57万円が支給されます。
C.生産性要件達成助成
助成金の支給申請を行う3年前(会計年度)と比べて、生産性の指標が6%以上伸びていれば、A+Bに加算して、さらに15万円が支給されます。
「生産性」の計算は、営業利益に人件費や減価償却費などを加算して、雇用保険加入者数で除して求めます。
以上、3つの制度によって助成金が受給でき、採用もうまくいき、そして社員の定着化も図れれば、一石三鳥の効果があります。
なお、助成金申請には上記以外にも細かい条件があります。
詳しくは、都道府県労働局または「まちの専門家グループ」にお問合せください。
投稿者プロフィール
- 当事務所は、従業員1名から上場企業まで幅広い企業様とお取引をさせていただいています。各社の企業規模や業種特性に応じて、適切かつ柔軟に対応できるのが強みです。また、経営理念として、人事・労務・社会保険業務を通じて、経営的な視点からお客様企業の(1)より良い企業風土づくり、(2)より強い企業体質づくり、(3)より業績の向上、につながるよう日夜努めています。
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