平成29年の税制改正で、相続税の納税義務のあり方が見直されました。
国外に住所を移して税金を免れる問題や、日本にたまたま短期間住所を持っていた外国の方が日本で亡くなった場合、
相続税の負担が大きくなってしまうなどの問題があったためです。
その②では、財産を取得した人が日本に住んでいない場合の相続税について解説します。
★ケース2
財産を取得した人が日本に住んでいない場合。
財産を取得した人が日本国籍を持っているか否かで変わってきます。
【1】財産を取得した人が日本国籍を持っている場合
この場合は、以下の3つに分類されます。
① 相続開始前10年以内のいずれかの時に日本に住所を有している場合
→この場合は、国内財産と国外財産に相続税がかかります。
② 相続開始前10年以内のいずれの時においても日本に住所を有したことがなく、被相続人が日本に長期間滞在していたことがある場合
→この場合は、国内財産と国外財産に相続税がかかります。
被相続人が長期間滞在していたことがあるとは、被相続人が一時居住被相続人又は非居住被相続人に該当しない場合です。
被相続人が日本と関りが長ければ全財産に課税されてしまいます。
③ 相続開始前10年以内のいずれかの時においても日本に住所を有したことがなく、被相続人が短期滞在である場合
→この場合は、国内財産のみに相続税がかかります。
財産を取得した人も亡くなった人も日本にいた期間が短ければ、課税の範囲を限定するというわけです。
【2】財産を取得した人が日本国籍を持っていない場合
この場合は、以下の2つに分類されます。
① 被相続人が日本に長期間滞在していたことがある場合
→この場合は、国内財産と国外財産に相続税が課税されます。
② 被相続人が短期滞在である場合
→この場合は、国内財産のみに相続税がかかります。
納税義務者と課税財産の範囲をまとめると以上のようになります。
ケース2の場合、今までは相続開始時に被相続人が日本に住所を持っていた場合には全財産に課税されていました。
平成29年の改正では、財産を取得した人と亡くなった人がともに日本に滞在していた期間が短かった場合には課税の範囲を国内財産のみに限定する措置がとられました。
確かに、転勤でたまたまに日本にいた時に亡くなったにも関わらず、全く関係ない自国にある財産にまで、日本の相続税がかかってしまってはたまったもんじゃないですね。
また、ケース2では日本に住所を有していた期間の判定が10年以内となりました。
改正前は5年以内でしたので、全財産に課税される人がおそらく増加することになるでしょう。
相続税の対策で海外に移住されている方、また、これから移住を計画されている方は注意が必要です。
投稿者プロフィール
-
1968年の創業以来、時代の変化に迅速に対応し、お客様の経営や資産をお守りしてきました。
多彩な専門性を備えたスタッフによるベストなコンサルティングと、独自のネットワークで、税理士法人+αのサービスをご提供。
税務会計の専門家としての誇りと責任を胸に、税務・財務・経営のサポートを通じて、安心とご満足をおとどけすることが私たちのミッションです。
最新の投稿
- 贈与税の非課税措置2024年7月30日【贈与税の非課税措置】親の支援で住宅購入できる制度の注意点
- 税理士の体験談2023年11月2日【私が税理士になるまで】いつでもどこでも勉強の日々
- 特例制度2023年9月4日【空き家特例】令和5年度税制改正で何が変わった?
- 確定申告2023年2月16日【Q&A】今さら聞けない確定申告 6つの質問
100年ライフマネジメント
月々1000円(税込)で専属アドバイザーには何度でもご相談いただけます。