【令和7年度路線価】神奈川県は4年連続で上昇幅拡大

7月1日に国税庁より「令和7年度相続税路線価」が公表されました。

まず、「相続税路線価とは何か?」という説明から始めます。

相続税申告の際、相続税の課税対象になる土地の価格を計算する際に基準となる価格(単価)で、道路ごとに1㎡あたりの価格が付けられています。

これを路線価といいます。

路線価の決定にあたっては、毎年国税庁より任命された不動産鑑定士が各エリア毎に10~15 人程度のグループを組み、地価動向について検討を重ねた結果を各税務署で検討した結果、1月1日時点の路線価として公表されるというプロセスとなります(私は現在、横須賀市エリアの担当に任命されております)。

路線価は概ね近隣の地価公示価格の80%程度の水準に設定されております。

早速、神奈川県全般の路線価の動向を見てみますが、平均で4.4%の上昇となりました(前年度は+3.6%)。

上昇傾向は令和4年度から4年連続となり、さらに上昇幅も拡大しています。
ちなみに隣接の東京都は全国でもっとも上昇し、平均+8.1%となっております。

神奈川県内には18税務署がありますが、その全ての署内で平均価格が上昇し、各管内の最高地点の18箇所に限定しても上昇率が二桁を超えているのは6地点となっております。

「アフターコロナ」も数年が経過し商業地への人流も完全に活性化しており、また住宅地も都心へのアクセスの良好なエリアを中心に需要が旺盛になっていることが伺えます。

以下にて、神奈川県内の路線価上位3地点と上昇率上位3地点を見てみようと思います(路線価上位、上昇率上位というランキングの性質上、話題が商業地に限定されてしまう点をご了承ください)。

令和7年度相続税路線価

県内路線価上位3地点

【1位】 横浜駅西口バスターミナル通り(横浜市西区)

17,200,000 円/㎡、+1.4%(前年+1.0%)

1位は6 年連続で首位をキープしています。

令和2 年に駅ビル「JR横浜タワー」が竣工し、県内でも屈指の繁華性の高さを誇ります。

駅前エリアでは昨年6月に横浜駅きた西口直結の「THE YOKOHAMA FRONT」の商業エリアも開業し利便性が飛躍的に向上しています。ただし、県内でも価格が突出しており、高止まり感が強いためか上昇率1.4%となっており各管内の最高地点の18 箇所の中では最も弱い数値です。

横浜駅西口バスターミナル

【2位】 川崎駅東口広場通り(川崎市川崎区)

6,460,000 円/㎡、+6.6%(前年+7.8%)

2位も県内では著名な商業エリアである川崎駅東口の駅前広場で、昨年に続き2位を維持。

令和3年に竣工した「JR川崎タワー」を中心とした再開発が行われ繁華性が高まりました。
価格の上昇は東口駅前広場周辺においてはひと段落しておりますが、近接の京急川崎駅周辺でも再開発が2028年に完了予定で進んでおり、より広域的にみればさらなる繁華性の向上が期待されます。

川崎駅東口

【3位】 市道高島台107 号線=鶴屋橋北側(横浜市神奈川区)

4,400,000 円/㎡、+8.9%(前年+14.1%)

3位はJR横浜タワーからデッキで直結する「鶴屋町ビル」が令和2年6月に開業したエリアで、こちらも昨年に引き続き3位を維持しております。
こちらも価格上昇はやや落ち着きを見せていますが、開業以来好調を維持し「横浜の顔」のひとつとして高いステータス性を有しております。

鶴屋橋

 

県内上昇率上位3地点

【1位】 鎌倉駅東口駅前通り(鎌倉市)

2,000,000 円/㎡、+19.0%(前年+14.3%)

1位にはインバウンド需要の回復が多い鎌倉駅の小町通りの入り口付近のエリアがランクインいたしました。
昨年は2位でしたが、今年は20%に迫る上昇率となっております。
近年はオーバーツーリズムの代表地になるほどの賑わいが戻っています。

鎌倉駅東口

【2位】 相模大野駅北口駅前広場通り(相模原市南区)

1,140,000 円/㎡、+16.3%(前年+6.5%)

2位には上昇率が飛躍的に上がったこちらがランクイン。

現在再開発が行なわれており、伊勢丹相模原店跡地にタワー型マンション「プラウドタワー相模大野クロス」の建設を行なっております。
商業施設も多数開業予定で、将来的な発展の可能性に対する期待が高い結果と考えられます。

相模大野駅北口

【3位】 二俣川駅南口駅前通り(横浜市旭区)

840,000 円/㎡、+15.1(前年+15.9%)

昨年1位だったこの地点が、今年も好調を維持し3 位にランクイン。
一昨年に「相鉄・東横直通線(新横浜線)」が開通し、都心へのアクセスが向上したことが非常に影響が大きく、また昨年秋に駅前商業施設「ジョイナステラス3」のリニューアルオープンした影響等もあり賑わいを見せております。

二俣川駅南口

マンション・戸建住宅も上昇傾向

また住宅地に関して簡単に触れておきますと、商業地ほどの上昇率ではないものの、総じて上昇傾向にあり堅調です。

人件費や資材費の価格高騰などにより、近年東京を中心に周辺県でもマンション価格等の高騰は著しく、戸建住宅も中古物件も含め上昇傾向にあります。

首都圏における不動産業者の用地取得競争の加熱化も見られるため、当面はさらなく価格高騰も予測されますが、ただし、いずれ調整局面に入ることも懸念されます。

来年以降もこの傾向が続くのか、今後も引き続き注視していきたいと思います。

 

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株式会社あかつき不動産サービス
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