令和8年1月13日から、「犯罪被害者等支援弁護士制度」が開始されることになりました。
今回は刑事事件における被害者の立場、そして今回開始されることになった制度について見ていきたいと思います。
刑事事件における被害者の立場
刑事事件において、被害者とは犯罪により害を被った者のことをいいます。
被害者は、加害者に対して刑事裁判を提起してもらうために告訴をすることができます(刑事訴訟法230条)。
最終的に起訴するかどうかを判断するのは検察官ですが、被害者は意見を述べるなどの形で対応することになります。
刑事裁判では検察官と弁護人(被告人)と裁判官の3者が法廷での当事者となりますが、以前は被害者は当事者として裁判にかかわることができませんでした(証人として申請されたら法廷で話をするという程度でした)。
それでは被害者の保護として不十分であるとして、平成20年に施行された法律により、一定の事件に関して、被害者も当事者として裁判にかかわることができるようになりました。
具体的には、故意の犯罪行為によって人を死傷させた罪や、不同意わいせつ等、一定の重大事件が被害者参加制度の対象とされています(刑事訴訟法316条の33)。
この制度は担当の検察官に参加の希望を申し出て、裁判所の許可があった場合に、被害者参加人という立場で、公判期日(刑事裁判の期日)に出席をし、以下のようなことができるものです。
① 検察官の権限行使について、検察官に自己の考えを言い、説明を聞くこと
② 一定の範囲内で、被害者参加人が自ら証人に尋問したり、被告人に質問したりすること
③ 検察官の論告求刑の後、審理の対象となった犯罪事実の範囲内で事実及び法律の適用について意見を述べること。
刑事裁判への参加以外にも、被害者は刑事事件の加害者との間で示談交渉をするなどのやり取りを行なったり、場合によっては被害弁償を目的として民事裁判などを行なうということもあります。
被害者支援弁護士制度
被害者は上記のような対応をすることができますが、専門的な知識が必要となったり、精神的な負担などもあるため、弁護士に依頼して対応することもありました。
しかし弁護士に依頼するとなると、費用を負担しなければならず、被害者の救済につながらないという問題がありました。
そこで今回できたのが、「被害者支援弁護士制度」です。
この制度は法テラスが、被害者が対応するための費用を援助してくれるというものです。
資力要件(一定の支出を差し引いた流動資産額が300万円以下)を満たす必要がありますが、要件を満たした場合には、被害者の方が上記のような対応をする際の費用を援助してもらうことができます。
例えば、被害届の作成や提出、警察や検察の事情聴取への同行、加害者との示談交渉の窓口などを、弁護士に依頼する際に援助を受けられることになります。
そのため、被害者にとっては、精神的にも経済的にも負担が軽減されることになります。
※法テラスは、国によって設立された法的トラブル解決のための「総合案内所」です。
万が一被害者になってしまった場合
刑事事件の被害者には誰しもなりたくないものですが、万が一被害者になってしまった場合、弁護士などの専門家に気軽に相談できることが重要といえます。
被害者支援弁護士制度は、被害者が必要な法的支援を受けられるようにするための重要な制度です。
今回の制度の開始によって要件はあるものの、被害者やその遺族にとっては専門家に相談することが、負担なく行なえるようになります。
皆さんもこの制度のことを頭の片隅にいれておき、万が一のことがあったら、弁護士に相談できるようにしておくといいでしょう。
弁護士へのご相談は「まちの専門家グループ」または「田中石原佐々木法律事務所」までご連絡ください。
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