【終の住処】夫婦ふたりの住まいの選択肢

終の棲家イメージ

今回は定年を迎え、お子さんも独立された、ご夫婦ふたりの「終の住処(ついのすみか)」について考えてみたいと思います。

子育てや仕事に忙しく過ごした時期を乗り超えて、これからの時間を夫婦ふたりでどう過ごすかは、人生の質を左右する大切なテーマです。
老後の住まいに関心をお持ちの方も多いと思いますので、ここでは少し整理しながら話を進めます。

最初に考えるべき3つの重要なポイントを挙げてみましょう。

① どこに住むか=場所

② どんな住まいにするか=かたち

③ どんな暮らしをしたいか=理想

 

① どこに住むか=場所

住む場所の選択肢としては、例として次のようなものが考えられます。

● 今の家に住み続ける

● 都心・駅近に住み替える

● 地方や自然のある場所へ移住する

● 子どもの近くに住む

このときに考えるべき大切な点は、「歳を重ねても安心して暮らしていけるかどうか」です。
日常の買い物の利便性はもちろん、医療機関へのアクセス、子ども・友人・コミュニティとの距離感など、車がなくても徒歩圏や公共交通機関で暮らす生活をイメージできることが重要です。

戸建てイメージ

②どんな住まいにするか=かたち

次に、住まいの「かたち」について考えてみましょう。

● 戸建て、マンションにそのまま住み続ける

● 戸建て、マンションをリフォームする

● 戸建を減築・建て替える

● 戸建からマンション、マンションから戸建への住み替える

今回は「夫婦ふたりで過ごす」ことをテーマとしているため、子ども世帯と暮らす二世帯住宅については、別の機会に触れたいと思います。

ここで考えるべきポイントは、戸建とマンションのどちらが「老後の夫婦ふたりの暮らしに向いているか」という点です。

戸建とマンション

老後という視点で考えた場合、

戸建ては庭や趣味空間を持てる、プライバシー性が高い、間取りの自由度が高いなどのメリットがあります。

一方、マンションには、防犯性が高い、住空間の上下移動がない、居住部以外=共用部の清掃や管理の手間が少ないといったメリットがあります。

どちらが良いかは、夫婦ふたりの価値観によるところが大きいため、それぞれのメリット・デメリットをよく話し合うことが大切です。

ここからは私の専門分野である設計者の視点で「戸建て」について、少し掘り下げてみたいと思います。

現在、戸建てに住んでいる場合は、

● そのまま住み続ける

● リフォームする、減築する

● 建て替え

という3つの選択肢が考えられます。

家の検討イメージ

費用面だけを考えれば「そのまま住み続ける」という選択肢が最も負担は少ないでしょう。
しかし、子どもが小さい時に建てた家の場合、部屋の広さや数、階数などが、必ずしも老後の暮らしに適しているとは限りません。

その場合、「リフォーム」や「減築」という方法があります。

減築とは、3階建てを2階建てにしたり、大きな家を部分的に小さくしたりするなど、建物を物理的に縮小することを指します。
リフォームや減築をすることによって、古い建物を新しく、より使いやすくすることが可能です。

ただし廊下幅を広げる、天井高さを大きく変える、床の高さを下げるといった、建物の骨格に関わるような変更は難しいケースが多いのも事実です。

住まいの骨格に手を加えたい場合は、3つ目の選択肢として、「建て替え」が考えられます。

費用はかかりますが、平屋にする、段差の少ない家にする、災害に強い家にする、省エネルギー性能を高めるなど、理想に近い住まいを実現できます。

1.5階建て

建て替えや新築という選択肢の中で、老後の住まいとして近年注目されているのが「1.5階建て」という考え方です。

基本は平屋としながら、子ども世帯が訪れた際の部屋や収納、吹き抜けのある高天井空間、趣味の部屋など、プラスアルファの空間を上階に設ける住まいです。
生活動線は1階で完結するため、将来的に上階を使わなくなっても支障がありません。
無理のない暮らしを続けながら、住まいの可能性を広げられる点が魅力と言えます。

 

③どんな暮らしをしたいか=理想

最後にどんな暮らしをしたいか、ということを考えてみましょう。
一見シンプルな話ですが、実はここが最も大切なポイントです。
夫婦ふたりの価値観が問われる、老後の住まいの理想像と言えるでしょう。

例えば、

● 静かに穏やかに暮らしたい

● 趣味や仕事を続けたい

● 人とのつながりを大切にしたい

● 孫が遊びに来やすい家にしたい

● 夫婦それぞれの個室がほしい

● 車いすになっても自宅で過ごしたい

● どちらかが1人になっても住み続けたい

など、抽象的なイメージから具体的な間取りまで、老後の暮らしについて夫婦でしっかり共有することが、人生の後半を豊かに彩るためには欠かせません。

人生100年時代

老後のことを老後になってから考えると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
日常の中で、夫婦ふたりのこれからの暮らしを少しずつ想い描いておくことをおすすめします。

投稿者プロフィール

小川貴之建築デザイン
小川貴之建築デザイン一級建築士事務所
当事務所は個人住宅、共同住宅、事務所ビル、保育園、公共施設などの建築設計を幅広く手掛けております。特に近年は鉄筋コンクリート造(RC造)の建物に関しての新築、改修、調査のご相談が多く、得意とするフィールドのひとつになっています。神奈川・東京を中心に全国の建物に関わるご相談を承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

100年ライフマネジメント

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