【賃金引上げ】ベースアップと定期昇給の違いって何?

賃金引上げ

皆さんの会社では、すでに賃上げは実施されましたか?
今年は年明けから物価高や人手不足、あるいはグローバル人材の獲得を背景にして賃上げの話題で持ち切りです。
食料品から運賃、教育費まで何でもかんでも値上げがされていますので、働いている人にとっては今年の賃上げは期待に胸が膨らみます。

賃上げ(賃金引上げ)について詳しく知る機会がありませんので、今回は実務的な内容を解説したいと思います。

物価と賃金

対象となる賃金

まず、毎月支払われる月例賃金について整理します。

月例賃金は大別して基本給と諸手当(家族手当、役職手当、通勤手当、割増手当等)から構成されています。
賃上げの対象は基本給になりますので、家族手当等の諸手当の金額が増えても、あるいは賞与が増えても賃上げにはなりません。

会社によっては基本給を「本給」や「職能給」、「年齢給」などの名称で構成している場合に、これらが賃上げの対象になります。

 

賃上げの方法

賃上げの方法には「ベースアップ(ベア)」と「定期昇給(定昇)」の2通りあります。
「ベア」は字のごとく、ベース(基本給)をアップ(底上げ)させることをいいます。
インフレにより賃金の水準が消費者物価と比べて相対的に低くなったときや、自社の賃金が世間相場より低いときに行ないます。

具体的には賃金表がある会社では、賃金表に記載された金額に一定比率を乗じたり、比率ではなく一定金額を上乗せして賃金表を書き換え、新しい賃金表に基づき支給します。
そのため、賃金表がない会社では定期的にベアを実施することはありません。

ベースアップ
バブル崩壊後デフレ景気が30年続いていましたので、ベアを行う会社は少数でした。
近年では日本の賃金は先進諸国と比較して低水準であることが指摘されており、国際的にも日本のベアの重要性が叫ばれています。

一方「定昇」は、決められた時期に年齢や勤続年数を基準にして行なうものと、評価結果を反映させるものの2通りがあります。人によって上がる金額は異なります。

年齢給や勤続給などを導入している会社では、就業規則(賃金規程)で定められたルールに基づき自動的に基本給を上げるため「自動昇給」ともいわれます。
後者の評価による昇給は「査定昇給」といわれています。
また、定昇は従業員数や年齢構成が同じならば企業の人件費負担は大きく変わりませんが、ベアは賃金の底上げになりますので、人件費総額が増えて企業負担が重くなります。
業績の見通しが不透明なときほど経営者側は、ベアに対して難色を示します。

賃上げの構成

なお、上位等級に昇給した場合に「昇格昇給」制度を設けている会社もあります。この「昇格昇給」も賃上げの対象となります。

賃上げイメージ

賃上げの推移

厚生労働省が公表している過去27年間の民間主要企業(資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上で労働組合がある会社)の賃上げ率をみていきます。

春季賃上げの推移

2000年以降の賃上げ率は2%前後、金額は5,500~7,000円で推移しています。
中小企業は2009年以降の統計はありませんが、それ以前では率で1.0~1.5%、金額で3,000~4,000円の賃上げとなっています。
ちなみに民間主要企業の2022年の賃上げ率は2.2%、金額は6,898円でした。

果たして今年はどうなるのでしょうか?

 

 

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社会保険労務士法人 ジンザイ
社会保険労務士法人 ジンザイ社会保険労務士
当事務所は、従業員1名から上場企業まで幅広い企業様とお取引をさせていただいています。各社の企業規模や業種特性に応じて、適切かつ柔軟に対応できるのが強みです。また、経営理念として、人事・労務・社会保険業務を通じて、経営的な視点からお客様企業の(1)より良い企業風土づくり、(2)より強い企業体質づくり、(3)より業績の向上、につながるよう日夜努めています。

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