インターネットでのお買い物は便利ですよね。
家にいながら様々な商品を見比べて買うことができるし、重いものを家まで運ぶ必要もありません。
最近は筆者も店舗での買い物より、インターネットでの買い物の方が多くなってきました。
インターネットでの販売を行なうサイトを「ECサイト」といいますが、ECサイトでの買い物はワンクリックで買えてしまうだけに、間違ったものを買ってしまったり、届いてみたら大きさや色が思っていたものと違ったり、といったことがあります。
このような場合、どうすればよいのでしょうか。返品してもらうことはできるのでしょうか?
ここではECサイトで買い物をした場合の返品についてみていこうと思います。
例えば、ECサイトで購入してみたものの、色がイメージと違い、返品したいと思った場合、皆様ならどうしますか?
実はこの場合、クーリングオフは使えません。
クーリングオフはECサイト等の通信販売には使えないのです。
ECサイトで購入したものは返品できない?
それではECサイトで購入したものは返品できないのでしょうか?
クーリングオフは使えませんが、特定商取引法15条の3によって、返品できる場合があります(法定返品権)。
通信販売では、消費者が売買契約を申し込んだり、締結したりした場合でも、その契約に係る商品の引渡し(特定権利の移転)を受けた日から数えて8日以内であれば、消費者は事業者に対して、契約申込みの撤回や解除ができます。
しかし、事業者が広告であらかじめ、「返品不可」等と記載していた場合には返品することはできません。
また、例えば返品可能な日数を8日から4日に短縮する記載があった場合はその記載も有効になります。
この「返品不可」の記載ですが、返品の可否だけではなく、返品の条件、返品に係る送料負担の表示がなされていなければならず、きちんとわかるように記載されている必要があります。
小さい文字でわかりにくく「返品不可」とのみ記載されている場合は、たとえ返品不可と記載があっても返品できる可能性があります。
ただし、この返品は、「商品」の販売にのみ適用され、サービスの提供には適用されません。
したがって、オンライン講座やレッスンの受講などは返品の対象となりません。
また、クーリングオフでは返品は原則として事業者負担となりますが、法定返品権では、買主が返品にかかる費用を負担する必要があります。
商品を開封してしまった場合
商品を開封してしまった場合はどうでしょう?
法定返品権で契約が解除された場合、商品を元通りに返品する必要があります。
したがって、元通りに返品できない場合は法定返品権は認められないと考えるべきでしょう。
開封して使ってしまった場合や、化粧品や衛生用品などを開封し、再販売できなくなってしまった場合には、法定返品権による返品はできなくなります。
法定返品権を行使する場合
法定返品権を行使する場合にはどうすればよいでしょうか?
法定返品権の行使方法は特に限定されていないため、書面のほか、口頭や電子メールでも可能です。
法定返品権の行使をした後に返品を行なえばよく、あらかじめ返品する必要はありません。
もちろん、「返品不可」と記載されていたとしても、商品に不備があった場合は商品を返品することが可能です。
ECサイトで商品を購入する場合は、サイズや色などの確認に加えて、返品できる商品かどうかを確かめて、購入する必要がありそうです。
皆様が、ECサイトで、お目当ての掘り出し物を見つけることができますように!
記事執筆:弁護士 藤田香織
投稿者プロフィール

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●記事執筆:弁護士 藤田香織
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