【固定資産税】空き家のままだと6倍に?

相続によって家屋や土地などの不動産を承継する場合、その不動産が空き家になる場合が多いかと思います。
空き家のままでいると、自治体から「特定空き家」として指定された場合、翌年度の固定資産税が6倍になります。

どのような場合に固定資産税が6倍になるかご説明いたします。

そもそも固定資産税とは?

固定資産税とはその年の1月1日に土地や家屋などを所有している方に課される税金で、各市区町村が税額を計算して納税通知書を送付します。
また、固定資産税の他に都市計画税も課されます。税率は次のとおりです。

固定資産税・都市計画税の税率

● 固定資産税 課税標準額×1.4%

● 都市計画税 課税標準額×0.3%

空き家イメージ

住宅用地の特例措置

「住宅用地の特例」は、住宅用地に対する固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3まで減額されるというものです。
具体的な制度の内容は以下の通りです。

①小規模住宅用地 住宅1戸につき200平米まで

● 固定資産税 課税標準額×1/6×1.4%

● 都市計画税 課税標準額×1/3×0.3%

②一般住宅用地 住宅1戸につき200平米を超えた部分

● 固定資産税 課税標準額×1/3×1.4%

● 都市計画税 課税標準額×2/3×0.3%

 

空き家イメージ

「特定空き家」について

平成27年度の「税制改正の大綱」では、「空き家等対策の推進に関する特別措置法に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空き家等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の対象から除外する」となりました。

具体的には自治体から「特定空き家」に指定され、勧告を受けた場合には翌年度の固定資産税から「住宅用地の特例」が適用できないことになります。

「住宅用地の特例」が使えないので「固定資産税が6倍になる」というよりは上記、住宅用地の特例措置①「特例の1/6が使えない」といったほうが良いかもしれません。

「特定空き家」とは以下の状態になる空き家です。

● 倒壊や著しく保安上危険となるおそれのある状態

● 著しく衛生上有害となるおそれのある状態

● 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

● 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

上記、特定空き家に該当するかの判断は自治体に委ねられるので、空き家になったらすぐに固定資産税が6倍になるのではありません。
空き家でも「特定空き家」として勧告を受けなければ「住宅用地の特例」の対象となります。

それでは「特定空き家」として勧告を受けた場合、課税標準3,000万円の空き家(200平米未満)の固定資産税・都市計画税の計算をしてみましょう。

「特定空き家」として勧告を受けない場合の空き家

● 固定資産税 3,000万円×1/6×1.4%=70,000円

● 都市計画税 3,000万円×1/3×0.3%=30,000円

「特定空き家」として勧告を受けた場合の空き家

● 固定資産税 3,000万円×1.4%=420,000円

● 都市計画税 3,000万円×0.3%=90,000円

上記の例のように固定資産税は6倍、都市計画税は3倍に増額し、税額では100,000円から510,000円に増額してしまいます。

売り物件イメージ

売却を検討する

上記のように特定空き家に該当した場合には、該当した年の翌年の固定資産税が6倍・都市計画税が3倍になってしまいます。
その場合、毎年、税負担が重くのしかかります。

空き家を売却することも検討しなければなりません。
売却した場合にはどのような税金が課税されるかご説明いたします。

空き家を売却した場合、「譲渡所得」という所得に該当し、譲渡所得は「売却収入-取得費+譲渡費用」によって算出し、この譲渡所得に対して所得税や住民税が課税されます。

 

土地建物の譲渡所得の税率は、所有期間によって異なります。

①所有期間が5年以下の場合

所得税及び復興特別所得税30.63%+住民税9%=39.63%

②所有期間が5年超の場合

所得税及び復興特別所得税15.315%+住民税5%=20.315%

※上記所有期間には、被相続人がその不動産を所有していた期間も含まれます。

記事執筆:税理士・小野田英之

 

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小野田年行税理士事務所
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当事務所は開業して38年の小規模(所長を含め5人)な事務所です。申告手続きだけではなく、個人事業者・法人のクライアント様には、6カ月の事業期間が経過際に、予想税額をお知らせするなど、納税に備えていただいています。相続税の改正で、今後は相続税を納税しなければならない方が多くなります。ご心配される前に遠慮なく相談してください。

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