2021年6月に育児・介護休業法が改正され、今年の2022年4月1日から、男性の育児休業取得促進のための制度が順次施行されます。
こちらは『男性版産休制度』と呼ばれており、現行の育休制度に加えて、出生直後の時期に男性が育休を取得することを推奨する制度です。
男性の育休取得率は長年ひと桁台で推移していましたが、2020年度は前年の7.48%から大きく上昇して12.65%となりました。
スウェーデン80%台、ドイツ30%台と比べると、まだまだ低水準であるのがわかります。
しかし、子育てと仕事の両立に関する社会的関心は年々高まっていますので、今回の法改正を契機にして男性の育児休業取得率は高まるものと予想されます。
そこで今回は、産休や育休の際によくお問合せをいただく社会保険制度について整理します。
手続きの漏れがないようにこの機会にご確認ください。
① 出産手当金(健康保険より)
産前42日間・産後56日間(多胎妊娠の場合98日間)の範囲で会社を休み、給料が支払われないときに支給されます。
加入期間は問われないため、入社した直後の方でも支給対象です。
支給額は、標準報酬日額(標準報酬月額※を30日で割った金額)の2/3×休んだ日数が支給されます。
※標準報酬月額とは、社会保険料を決定する際に使われる月例給与相当額です。
② 出産育児一時金(健康保険より)
被保険者本人または被扶養者である配偶者が妊娠4ヶ月以上で出産した(早産・死産・流産・人工妊娠中絶も含む)ときに42万円支給されます。
医療機関で直接支払制度を利用すると、健康保険から医療機関へ直接支払いが行われ、本人の窓口負担を軽減することができます。
③ 社会保険料免除(健康保険・厚生年金保険より)
産前産後休業期間(産前42日間・産後56日間)および子が3歳までの育児休業期間は、毎月の給与と賞与ともに本人と事業主の双方の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)が免除されます。
産前休業を開始した月の分から、育児休業最終日の翌日が属する月の前月(=復職日の前日が属する月)の分までが対象です。
免除期間は健康保険が利用でき、厚生年金保険料も支払ったとみなされます。
④ 育児休業基本給付金(雇用保険より)
産後休業が終わり育児休業期間中、子が1歳になるまで支給されます。
保育園に入れないなどの条件を満たせば、最長2歳まで支給可能です。
健康保険の給付(出産手当金・出産育児一時金)と異なり、育休開始前に直近2年間で12ヶ月以上雇用保険に加入していたことが条件となります。
産前休業開始前の6ヶ月間の給与総額を180日で割った額が、1日分の支給額の計算基礎となります。
育休開始後180日間は1日分の67%、その後は50%の支給率です。
⑤ 育児休業等終了時報酬月額変更届(健康保険・厚生年金保険より)
育児休業期間を終了して職場復帰した際、時短勤務や残業の減少などで給与が休業前より下がった場合、標準報酬月額の改定をします。
この手続きにより、翌月から低下した給与額に見合った保険料に変更することができます。
⑥ 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置(厚生年金保険より)
3歳未満の子を養育する方で、⑤の場合のように職場復帰して標準報酬月額が下がったとき、将来受け取る年金額の計算の際に標準報酬月額が下がる前(産休に入る前)の標準報酬月額とみなして計算する制度です。
投稿者プロフィール
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