6月初めに出された、金融庁の市場ワーキンググループがまとめた報告書が「老後資金2,000万円問題」となって世間を騒がせていますが、みなさんもこのニュースはご存じでしょうか?
「年金2,000万足りない」というところだけが切り取られてメディア等が不安をあおり、一部で炎上が起きていますが、最低限食べていけるだけの生活ということではなく、ライフスタイルや収支状況は人それぞれですし、老後をどんな風に暮らしたいかによっては、年金ではもちろん足りないので、「老後に向けて蓄えを持つべく自助努力は必要だ」ということは、これまでも言われてきたことではないかと思います。
今回の騒動の内容はさておき、若い人達やこれまであまり関心を持っていなかった多くの人達が、
「将来に向けて備えておかなきゃ!」
という意識を持ったということでは、今回大きく取り上げられたのは良かったと感じます。
リタイア後の資金準備のご相談は多く、日々皆さまのキャッシュフロー表を作成し分析していますと、多くの世帯でご希望される「ゆとりある生活」を前提にシミュレーションすると、公的年金だけでは不足してしまいます。
妻主婦世帯と共働き世帯別に試算すると以下の通りです。
【ケース1】
●公的年金額(平成30年4月現在 日本年金支援機構のモデル世帯):22.1万円/月額(夫:15.6万円・妻:6.5万円)
●ゆとりある生活費(平成28年度生命保険文化センターより):34.9万円/月額
●公的年金不足額:▲12.8万円/月額
●公的年金累計不足額:▲12.8万円×25年間(90歳まで)=▲3,840万円
※モデル世帯とは、夫の平均年収が500万円で厚生年金に40年加入し、妻が第3号被保険者を含め、国民年金を40年納めた場合です。
【ケース2】
●公的年金額(共働き世帯):30.3万円/月額(夫:15.6万円・妻:14.7万円)
●ゆとりある生活費(平成28年度生命保険文化センターより):34.9万円/月額
●公的年金不足月額:▲4.6万円/月額
●公的年金累計不足額:▲4.6万円×25年間(90歳まで)=▲1,380万円
※夫の平均年収は約500万円、妻の平均年収は約400万円で厚生年金に40年加入した場合で試算。
その他に想定される大きな支出では
「住宅ローン返済資金」
「車の買い替え」
「住宅リフォーム」
「介護費用」
等が考えられます。
また国としては、2%のインフレ目標を設定し金融政策を実施しておりますので、物価上昇も考慮しておく必要はあるでしょう。
退職金だけでそこまで準備できる世帯は少数だと思いますので、何も準備せずに「ゆとりある生活」を送れる世帯はごくわずかということになります。
定年退職者1人当たり平均退職給付額(勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者)は平成30年4月 厚生労働省「就労条件総合調査」によると、
大学卒(管理・事務・技術職)で1,983万円
高校卒(管理・事務・技術職)で1,618万円
です。
上記の例は一部の例となりますので、個々の世帯の状況やご希望に合わせて正確にプランニングする必要がありますが、人生の三大資金(教育・住宅・老後)の中で、一番後回しになりがちなのが老後資金です。
しかし、一番大きな金額が必要になる世帯がほとんどです。
この機会に一度自身のリタイアメントプランを作成してみてはいかがでしょうか。
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「今から何かはじめなきゃ!」と思った時、ぜひご相談ください。
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- 夢や目標に対して総合的な資金計画を立て、実現に導く方法が「ファイナンシャル・プランニング」です。当社のファイナンシャル・プランナーが6分野全体のバランスを総合的に考えた上であなたのライフプラン実現の為に長期間サポート致します。
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